共同通信 社会部 編
現代書館/1,500円+税/2014年11月
JDS会員でこの本の執筆者の一人である共同通信社記者の市川亨さんからの本のご紹介
出生前診断に不妊治療、養子縁組ー。「親になる、子を持つってどういうことだろう」
全国の新聞に記事を配信する共同通信社の記者14人が、そんな問いを胸に取材した連載企画「わが子よ」(2013年4月~2014年6月に配信)を1冊にまとめた本です。
「ダウン症」との出生前診断を受けた夫婦や、第三者からの精子提供で生まれた男性、特別養子縁組の親子…。さまざまな葛藤を抱く当事者を訪ね歩き、それぞれの問題について単純な批判や賛成ではない、多面的な視点を読者に提供しています。
日本での出生前診断と障害者運動の歴史、母体血清マーカーテストが無料で一律に提供され当たり前になっているイギリスの現状も紹介。記事を読んだ読者からの感想も交え、生殖医療が進歩していく未来に私たちはどう向き合っていけばよいのか、徹底的な「現場目線」で問いかけています。
晩婚・晩婚化といったライフスタイルの変化による少子化、医療技術の進歩と生命倫理をめぐる国民的議論の欠落、さまざまな制度的不備といった社会的な要因を背景に、出生前診断や不妊治療の当時者となった人たちは複雑な状況に直面し、混迷の中をさまようことになる。私たちの誰一人、唯一無二の正しい答えを導き出すことなどできはしないが、これらの問題は決して「他人ごと」ではなく、そこに映し出されているのは私たちが生きる社会のありようだということを忘れてはいけない。
わが子よ ー出生前診断、生殖医療、生みの親・育ての親
「あとがき」より