その他/権利擁護

出生前(しゅっしょうまえ)検査について

妊婦の血液で、胎児がダウン症かどうかがほぼ確実にわかる新しい出生前検査が、2013年4月より“臨床研究”として日本に導入されました。

ターゲットとなる「ダウン症」の当事者団体として、JDSは、母胎内で育ちつつある命と、それを幸せと不安の中に育んでいる妊婦さんのために、出生前検査をマススクリーニングとして一般化することや安易に行うことには、断固反対です。

なお、JDS は、出生前検査の技術そのものに対して、特に見解を示すことはありません。また、出生前検査を一人ひとりがどう理解し、選択するかについて、賛成や反対の意見を表明することもありません。

JDSは2012年8月27日付で、その立場をより一層明確にする要望書を、遺伝子検査指針を作成予定の日本産科婦人科学会へ提出しました。
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JDSの基本的な考え方

ダウン症のある人は、多様な人々が共に生きる社会の一員です。それぞれに豊かな人生を生きています。 JDSは、“ダウン症”を出生前検査の対象として排除するのではなく、「ダウン症のある人が、その人らしく、普通に、安心して暮らせる社会」が 実現することを望んでいます。

JDSは、母胎内で育ちつつある命とそれを幸福と不安の中に育んでいる妊婦さんのために、出生前検査をマススクリーニングとして“一般化する”ことや“安易に行う”ことには、断固反対しますが、出生前検査の技術そのものに対して、特に見解を示すことはありません。また、出生前検査を一人ひとりがどう理解し、選択するかについて、賛成や反対の意見を表明することもありません。

JDSの基本的な考え方は、母体血清マーカー検査導入時と変わっていません。母体血清マーカー検査は、胎児がダウン症であるかどうかを確率で判定するものですが、JDSは、「確率判定」か「確定診断」かという点に本質的な違いはないと考えていま す。

理事長からのメッセージ

1990年代の母体血清マーカー検査の時代から出生前検査の動向を注視してきたJDSを代表して、玉井邦夫理事長からのメッセージです。
メッセージ(PDF)

考え方公表の経緯

1990年代、母体血清マーカー検査が日本に入ってこようとしていたとき、日本国内では激しい議論が起こりました。JDSは他のいくつかの親の会と共に、マススクリーニングには断固反対の立場を表明するために、政府、厚生省、および日本産科婦人科学会に、要望書や質問状を出したり、全国的なキャンペーンを展開したりしました。

結果として、政府は1999年に、以下のような画期的な見解を出しました。

以下、政府見解の重要部分のみ抜粋:全文はこちら(PDF)


「この技術の一部は障害のある胎児の出生を排除し、ひいては障害のある者の生きる権利と命の尊重を否定することにつながるとの懸念がある」
「胎児の疾患の発見を目的としたマススクリーニング検査として行われる懸念があることといった特質と問題があることから、医師が妊婦に対して、本検査の情報を積極的に知らせる必要はない。また、医師は本検査を勧めるべきではなく、企業等が本検査を勧める文書などを作成・配布することは望ましくない。」

 政府見解より

以下、政府見解を受けて出された通知より抜粋(PDF)

その後、出生前検査・診断には新たな技術が導入され、商業ベースでの利用も広がってきています。その一方で、障がいのある人たちに関連する国の法律や制度にも大きな変化が生じてきました。

こうした状況の変化を踏まえ、改めて出生前検査に関するJDSの見解を表明することにしました。

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