諏訪まゆみ 編著
人中外医学社/7,600円+税
<著者からのメッセージ>
ダウン症について、ふと疑問に思った時、百科事典のようにめくってほしい
ダウンちゃんは、病棟の人気者です。おそらく家庭や学校などでもそうでしょう。とても人懐っこく、すごく適応力があり、みんなから可愛がられる抜群に愛らしい存在です。また、明るく元気いっぱいのダウンちゃんもいれば、静かでおとなしく絵本を読むのが好きなダウンちゃんもいます。それぞれが個性を伸ばして、元気に楽しく毎日過ごせたら、最高だと思います。
小児科医をしていたころ、私はいろんな内科疾患のダウン症のあるちびっこに出会いました。その後、小児麻酔の分野で手術の麻酔だけでなく、検査や処置の鎮静・鎮痛にも携わるようになり、今度はさまざまな外科疾患のダウン症のあるちびっこに出会いました。
21トリソミーにはとても特徴的な疾患や症状があるので、診断や治療・療養・生活においてある程度の予測ができます。そのため、生まれる前からあるいは生まれてすぐから、医療面や生活面でしっかりサポートしてあげれば、元気にすくすく育ってくれることがとても期待できるでしょう。そのためには、医療従事者はもちろんのこと、家族・学校の先生・周りの人々が、ダウン症についてよく知ることがとても重要だと思います。ダウン症児に出会うすべての方が、ふと疑問に思った時に、この本を百科事典のようにめくってほしいなと思います。
<この本について>
前半は、21トリソ ミーの診断や並存疾患の診断・治療について、各分野のエキ スパートの先生に、ポイントをあげて図表なども使って医療者ではない方にも分かりやすいように、かつ、最新の情報や治療法などもマニアックに盛り込んで医療者にも読みごたえがあるように書いてもらいました。
私の専門分野でもあります小児麻酔に関連して、全身麻酔や区域麻酔、気道管理、検査の麻酔、麻酔のトピックスなどについても掘り下げてまとめています。
本の後半には、理学・作業・言語聴覚療法、おすすめの図書、音楽療法、保育、妊娠出産、ご家族の言葉なども書かれています。ぜひ、ご家族や学校の先生などまわりの方々に読んでほしいです。また、学校に行くにはどんな選択肢があるのか、そのあと就職するにはどんな過程を経るのか、具体的にどんな公的サポートが受けられるのかなど、成長していくなかで、実際直面したときに役立つ情報も盛り込んでいます。
【静岡県立こども病院麻酔科 諏訪 まゆみ】