ウィンダーズ先生のダウン症のある子どものための身体づくりガイドーおうちでできる練習BOOKー(原書第2版)

原著者/パトリシア・ウィンダーズ 監訳者/真野 英寿・秋田 可奈子 訳者/佐藤 あずさ
三輪書店/5,500円(税込)

総ページ数486、まずは本の厚さに驚かされると思います。親がすべて教えなきゃいけないの? とプレッシャーに感じるかもしれません。いえいえ、練習しなくても座ったり歩いたりできる子がほとんどです。ではなぜ「身体づくり」?

答えは序論のいちばん最初にある「子どもが自身の人生を満喫するため」。うちの子は歩くのが下手、うまく体が使えない、とあきらめて嘆くより、お子さんのごく小さな変化やできることに親が目を向けることで、お子さん自身が「自分はこれでいいんだ」と思えるきっかけが増えます。

この本にある写真の子どもの目をパラパラと見てください。「やってみたい」「あのおもちゃをとりたい」そんな声が聞こえてきそうです。「うまくハイハイしたい」と考えて練習する赤ちゃんはいません。「あそこに行きたい」「あれがとりたい」と思うから、自然と動きます。

理学療法士は身体のつくりを熟知していますが、わが子の「動き」をうまく引き出せる先生に出会えるかはまた別の話。だったら親がその子の身体のプロになれば、日々の関わりのなかでできることの幅が広がっていきます。手の添え方、支えている位置をほんの少し変えるだけで、力のかかり方がまったく変わります。おむつ替えや食事がミニ練習のチャンスになるのです。

この本の大事なポイントは、発達段階別の各ステーの最後にある「マイルストーン・チェックリスト」です。そのステージをクリアしているかの箇条書きが示されています。まずこのチェックリストを見て、自分の子にあてはまるステージを拾い読みしてみてください。

また、このチェックリストを見て、自分で我が子のチェックをしてみましょう。いつできるようになったか、ということもメモして使うこともできそうです。リハビリ施設や訪問療育などを受ける際も、保護者と専門家がチェックリストを見ながら、共通認識を深めることもできるでしょう。

文章ばかりでよくわからない、という場合、一緒に考えて教えてくださる先生を探してみましょう。保護者だけで抱え込まず、その子のことを考えてもらうきっかけにもなります。